バグ 1 プロローグ
しょせん、ボクなんかとるに足らないちっぽけ存在だなんてことは、ボクが生まれる百年以上前から決まってたことだし、冬の朝、自転車をこいでて耳がちぎれそうになるほど痛いみたいな、いや、ちょっと違うな、なんて言ったらいいんだろう?
ボクは……。
つまり、こう言いたいんだ。
ボクらは、大いなる不感症で、人が弱いってことから目を逸らして、自分が偉いと思い込んでいる愚かな虫にしか過ぎないってことをね。
ふむぅ……こう言っちゃうと虫に失礼だな。例えだよ、例えて言うならばってこと。ボクらは、考えているようで実は何も考えていない。本能のままに生きているだけだ。それをね、否定も肯定もしないってこと。分かるかな?
ただね、ふと思うんだ。
それって、突然、幽体離脱したみたいに自分を眺めてしまったときにさ、そういう瞬間ってあるでしょ?
でしょ?
そのときにね、ホントに凍り付いた耳に感じる痛さより、もっと痛烈に刺さるってことをね。
自分の愚かさを分かってしまう瞬間。
こりゃ、痛いよ。マジ、刺さる。
ボクは、きのう十四歳のまま二十二歳になった。
わけ分かんないだろ?(笑)
でも、この言葉のままなんだ。
そして、知ってしまったんだ。
自分が愚かな虫だったってことに。
十四歳で二十二歳のボクは、知った。
すべてが現実で、すべては夢だってことに。
十四歳で十四歳だったボクは、よくいるいじめっ子だった。
正確に言えば、仲間外れにされるのが怖くって、いじめっ子たちの周辺にいる気の弱い少年だった。
だけどね、こいつがくせ者なんだよ。
ボクは自分を気の弱い少年って自己弁護しているだけだった。一番最悪なのは、ボクみたいなヤツ。気が弱くって、ヘラヘラ笑ってて、本当は悪いことだって分かっているのに見て見ぬ振りをするヤツ。虫ほどの勇気も持ち合わせないヤツ。
ねぇ、こんな卑怯なボクの話を聞いてくれるかな?
ボクはね、みんなにカッちゃんの話を聞いて欲しいんだ。
カッちゃんは、自殺したんだ。
でもね、勘違いしないで欲しいのは、カッちゃんはさ、いわゆる『いじめっ子』だったんだよ。
(つづく)
| 不機嫌な天使 著者:長濱 英高 |
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