電影マニアックス・あらすじ

2007-06-21

電影マニアックス・あらすじ

あらかじめのお断り。──

《この物語は基本的に、ミズシマケンイチとその息子ミチロウが
のぞいたビデオカメラの映像によってのみ展開する》

 ミズシマケンイチは一人息子のミチロウを溺愛し、ビデオカメラを手にしてからというもの、
始めのうちは日常生活のスナップを撮影しているだけだったのだが、そのうちそれでは飽き足らず、
妻・タエコにインタビューしたり、隠しカメラを設置しミチロウを治験者に仕立て
『食欲』『恐怖』『性欲』とテーマを持たせた『実験』と称する映像を撮るようになる。

 ケンイチは、ミチロウの10歳の誕生日にお古のビデオカメラをプレゼントする。
さっそくミチロウは友達が悪戯する様子や、「赤ちゃんってどこから生まれるの?」と
意地悪な質問で女性教師を困らせた様子を撮影する。
ケンイチがそれを見て喜ぶものだからミチロウはますます図に乗る。
かたやケンイチは、危うく難を逃れたから良かったものミチロウが川で溺れる様子さえ助けずに
記録を残そうとする。

しかし、こんな出来事でもこの一風変わった親子にとっては幸せなひとときに他ならない。

 ミチロウが成長期を迎えてもケンイチは成長記録の撮影をやめないばかりか、
ミチロウが恋したユミコの日常を隠し撮り、それがもとでミチロウが失恋する場面、
老人介護のボランティアを始めたタエコの日常や日記を盗み撮り、
二人がそんなケンイチを忌避するほど執拗なまでに
「重要な事件だからこそ記録する」
と言って憚らない。
ケンイチがここまで『ミチロウの成長記録』『家族の記録』を残すことにこだわるのは訳がある。
実は、ミチロウはタエコの連れ子。ケンイチの実子ではない。
ケンイチは、記録を残すことこそが『家族』を営む証だと信じ、
それがかえって重荷となりタエコが苦しみ、撮影されることを嫌悪しているなんてよもや思いもしない。
一方、そのことに薄々感づいていたミチロウは、一部始終をケンイチに撮影されるのも耐えられず、
閉塞的な田舎暮らしに日々「俺はこのままでいいのか」と問い質し、
突然、実父が目の前に現れたのをきっかけに、決意固く誰にも告げず姿を消す。
ケンイチは主のいなくなったミチロウの部屋を写し呟く。

「どうやら息子に捨てられたらしい」

 数年後、偶然遭遇した銀行強盗に果敢にも突撃インタビューめいたビデオを撮影したのをきっかけとして、
自らをモチーフに人間の内面をえぐり出し、それに詩的な味付けをしたビデオクリップを
制作していたミチロウは一躍時代の寵児、時の映像詩人としてもてはやされている。
記録することこそが自らの存在証明。
ビデオレターで作品を辛口批評するケンイチの声などミチロウの心には響かない。

 しかしそれもつかの間。四六時中ビデオカメラを手放さないのは現実逃避の現れだと言って、
「記録より記憶よ」と、
ミチロウをやんわり批判する潔癖性のトキコとの出会い。
ミチロウが恋人を寝盗ってしまった仲間、父親から幼児期に虐待を受けていたキリュウの自殺。
ビデオカメラを手放しトキコのヒモに成り下がったミチロウからは、愉快で刺激的な仲間たちは離れていく。
自由になる金もままならなくなったミチロウが借金を申し入れたビデオ制作会社社長のミヤマからは
「そんなに金が欲しいならAV(アダルトビデオ)撮れや」と
札束で頬を張られる。
この話に腹を立てた唯一残った仲間のシバはミヤマの金を奪うことを計画。
二人は深夜ミヤマ企画に押し入り金を手にし、計画はまんまと成功したかに思えたが、
突然、姿を現したミヤマをはずみでとはいえ殺してしまう。
そして、死体を山に埋めにいく様子さえ撮影し、

「こんなに面白い出来事にはなかなか遭遇できないんだよ」と

嘲笑うミチロウに恐れをなして逃げたドライブに行こうと偽って誘われたトキコの通報で、
シバはすぐに逮捕されミチロウは全国指名手配犯になる。

 いよいよ逃げ場がなくなり、忌み嫌う思いとは裏腹に故郷へ向かったミチロウは
ミズシマ家の玄関前で刑事に取り押さえられる。
慌てたケンイチが出てくる。
ビデオカメラ手にケンイチは叫ぶ。

「ミチロウ、カメラを持て!記録しなくていいのか!」

ミチロウは涙を流しながらも笑うしか出来なかった。


 そして。──




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不機嫌な天使

著者:長濱 英高

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新しい試み


いままで躊躇していたのだが、
ボクが今一番、
映像化したいと思っているシナリオを
少しずつアップしていきたいと思う。

なお、このシナリオについて
全ての著作は、長濱英高に帰属するものであり、
侵害されるようなことがあれば、
法的手段に訴えます。

……と、少々固いですが、
これは一応書いておかないとね。。

って、ことで。

タイトルは、『電影マニアックス』。

ある少年が青年に成長するまでの家族のお話です。

このシナリオは、かつて『サンダンス・NHK国際映像作家賞』というコンクールで、
最終選考に残った作品です。

惜しくもそこで落選してしまったのだけど、
ボクは今でも完成度の高いシナリオだと思っている。
機会あらば、映像化を目論んでいる。

シナリオは小説と違って、心理描写がないので読みにくい。
その辺りをご考慮し頂き読んで頂ければ幸いです。

では、今晩から、連続でアップして行きますね。

……って、『バグ』を書くまでの時間稼ぎだったりして。。。。(笑)




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